有限会社白栄舎クリーニング
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マグちゃんについての記事について:
第1節は、金属マグネシウムと水との化学反応性について述べられた内容で、洗浄効果/作用についての原理的な説明
第2節は、水中で生成する水酸化マグネシウムが油脂を分解する力があるかについての見解
と読み取りました。
第1節の黒字の記述はその通りで、私も同じ理解をしています。
➡赤字の記述「水酸化マグネシウムが水に溶けてpH値が高くなるということは
、水中でマグネシウムイオン(Mg2+)が電離する」は、化学的には正しくありません。
私なりに(あえたくどく正確に)記述すると、「金属マグネシウムMgが水中で、水H2Oと反応して水酸化マグネシウムMg(OH)2と
水素ガス(H2)を生成する。この時、水中には水酸化マグネシウムMg(OH)2がマグネシウムイオン(Mg2+)と水酸化物イオン(OH-)に
(完全に)電離し、その割合が多くなるほど、すなわち水酸化物イオンの濃度が高くなるほどpH値が高くなる。」とします。
くど過ぎるので簡潔に表現するならば、「金属マグネシウムMgが水に溶けて生じる水酸化マグネシウムの量(濃度)が高くなるほど
pHが高くなる」で十分で、一般には電離という化学用語を使わないですませる方が良いと考えます。
第2節「常温の水酸化マグネシウム塩基性アルカリイオン水(pH9.5程度)は油脂をけん化できるか? 結論からいえば、無理です。 仮に、けん化反応が起きたとしても、水酸化物イオンの対イオン(カウンターイオン)として、マグネシウムイオンが、水酸化物イオンの約半分のモル数で存在していますから、「水石けん」なるものはできず、直ちに、水に不溶の脂肪酸マグネシウム(マグネシウム石けん)に変化してしまいます。 pHが11以上の熱炭酸ナトリウム水溶液であれば、ごく一部の油脂が部分的にけん化反応を起こすことにより、その石けん分が未けん化の油脂を乳化するという現象は起こります。」
記述内容には全く間違いがありません。でも、ここで問題としているのは、「水酸化マグネシウム溶液で油脂がけん化(アルカリ加水分解)が起こるかではなく、
洗浄作用が高くなるのか?」ではないですか?まさか、洗浄作用は、油汚れ(油脂)をけん化することによって起こると理解されているのではないと思いますが、ここの記述を1から素直に読むと、金属マグネシウムの洗浄作用の説明の正誤かと誤解される(ミスリーディングの)可能性があります。
金属マグネシウムの洗浄作用は、洗濯水のアルカリ性をpH9.5に変える(石けんだけではpH8程度)ので、アルカリ性で落ちる汚れが落ちやすくなる、といった程度ではないか、と私は理解しています。
それならば、ちょっとあぶない金属マグネシウムよりも重曹やベーキングソーダ(重炭酸ナトリウム)を洗濯水に加えればよいのであって、高価なMgを利用する必要がない、と考えます。
*ちょっとあぶないの意味:温水の洗濯機で使うと、反応が速くなり水素ガスが大量に発生し、近くで電気火花が起こると爆発を起こす危険性がある。